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歯周病の治療編


歯周病を理解するための予備知識(1)<歯周ポケットって何?>

これまでの説明から、歯根とその周囲組織の関係が理解できたと思います。
しかし歯周病が分かりにくいのは、外からみた外観から判断しにくいことがその最も大きな原因でしょう。


歯周病がどのくらい進行(悪化)しているかの最も簡便で重要な診査方法が歯周ポケットの深さを測定することなのです。これは素人には不可能ですので専門家に調べてもらうしかありません。

◆歯周ポケットの深さの目安 ◆
1〜3ミリメートル 健康は歯周組織
4〜6ミリメートル 中等度に進行した歯周病
7〜10ミリメートル 高度(末期)にまで進行した歯周病



歯周病の治療編(2)

 ◆ 基 礎 編

大部分の歯周病は本人の気がつかないうちに進行してゆきます。その結果治療を受けないままに放置し、気がついた時には「抜歯」するしかないほど進行してしまっているーーといったことがしばしばおこるのが現状ではないでしょうか。
と言っても、時に「歯肉が腫れる」とか「歯肉が痛いような痒いような」不愉快な感じを覚えることもしばしばあるものです。このような時こそ歯周病の治療に取り組むチャンスです。もし歯周病が初期の段階ならば、次に説明する<基礎編>だけで完全に治すことが可能です。また中期以上に進行していても<基礎編>を行うことにより、歯肉の出血や不愉快な症状は必ず改善してゆきます。


@ルート・プレイニング
「歯周病は歯肉の病気」であると思っている人が非常に多いのですが、そういう観念に囚われていると、治療とは「歯肉に対して何か処置をすること」という発想が生まれるかもしれません。
しかしすでに説明しましたように、歯周病の大きな特徴は歯根表面に歯石や汚物が付着し、歯根表層が細菌の出す毒素で汚染されているーーということであり、この歯根の汚染こそが歯周病の原因なのです。従って歯周病を治すには、歯根の汚染状態を取り除き、清潔な歯根面にすることがまず最低限必要なのです。歯根の汚染された表層を除去し、滑沢で新鮮な歯根表面にする処置のことを<ルートプレイニン>と呼んでいます。
(詳しくは事項で説明します)

A咬合調整
上下の歯の噛み合わせ関係が悪いと、歯根をささえている骨にダメージを与え、歯がグラグラになり、歯周病がさらに悪化する要因になります。噛み合わせ関係を改善し、歯根を支えている骨にダメージ(外傷)を与えないようにすろ処置のことを<咬合調整>と呼んでいます。
もしも、あまりに歯の位置が悪かったり、歯の方向が傾斜している場合には、歯を動かす<矯正治療>が必要なケースもあります。

Bその他
患者さんのお口の中には、歯周病の治療するのを妨げている歯列や咬合の乱れ、あるいは不適切な金属冠がの装着などがあれば、それらの改善処置も必要になってきます。

より詳しく説明すると:ルートプレイニングとは

歯周病を治すには「歯石を除去」することが必要である・・ということは大部分の人はご存知ではないでしょうか。<歯石>を除去することはもちろん極めて大切です。しかしある程度以上進行し、慢性化した歯周病を治すにはそれだけでは、不十分なのです。

歯風病を長年放置した歯の根面は、歯石や細菌が強固に付着しているだけでなく、付着していた細菌(歯周病原菌)の出す毒素で汚染されているからです。つまり、歯根の表層にそのエンドトキシンと呼ばれる毒素が滲みみこんでおり、変質しているからです。

このような細菌の毒素で汚染された歯根の表層をキュレットと呼ばれる器具で一層掻き摂り、健全で滑沢な歯根表面にすることが、歯周病を治すためには非常に重要なのです。

このような処置のことを『ルート・プレイニング」と呼びます。「ルート」とは「歯根」のことであり、「プレイニング」とは「削りとって滑沢にする」という意味です。


より詳しく説明すると:キュレットとはどんな器具?

ルート・プレイニングを行うには、キュレットとよばれる小さな刃のついた器具が必要です。口腔内の全て歯牙の表面に適合するように湾曲を変えた幾つかの種類のキュレットガ考案されています。

左の写真はその一例ですが、歯根の形に合うようにネック部分に微妙なカーブがついています。

このキュレットの先端部は丁度タンカー船のような形をしており、甲板の外周がライン状のエッジ(刃)になっています。このエッジを歯根表面に当てて、汚染された歯根の表層を削りとります。いわば根面の鉋(カンナ)かけをするのです。

エッジは使っていると、刃が丸くなり切れ味がおちるので、定期的に砥石を使って研ぐ(シャープニングする)必要があります。


基礎編:ルート・プレニングはすごい威力を発揮する

左の写真【A】は、歯周病が末期まで進行したために、抜去した歯の実物です。如何に歯根が汚れているかが分かるでしょう。

まず歯石除去を行ったあと、シャープに研磨されたキュレットを使って、汚染された歯根の表層を削除し、徹底的にきれいにする処置ーすなわち<ルート・プレイニング>を行います。

ルート・プレイニングを行うことにより、歯根表面の汚染状態がなくなり、歯肉の炎症は、急速に治ってゆきます。「腫れ」や「痛み」がなくなり、さらに「出血」や「膿み」も出なくなります。そして歯根面に歯肉が再付着することができるようになり、ポケットも浅くなってきます。

ルート・プレイニングを行うことは、人間(患者さん)が本来もっている「歯周組織の治癒能力」を発揮できるように促す処置であると言えます。


初期歯周病がルートプレイニングで治った実例


歯周病の治療編(3)

 ◆ 応 用 編

@外科的処置 歯周病が中等度以上に進行すると、歯根の支えとなっている骨が崩れ、放置すればさらに進行悪化してゆきます。歯周外科手術によって、骨やその周囲組織の形態を修正し、歯周病の進行を食い止める必要がでてきます。崩れて失われた歯根周囲の骨を再生する歯周組織再生手術(GTR法)も、症例によっては可能です。

A動揺歯の連結固定 歯周病が進行すると歯がグラグラし始めるため、動揺している歯を、互いに繋いで補強する連結固定が必要なケースもあります。ただ、連結固定だけ行っても、基礎編のルート・プレイニングや咬合調整を行わなければ、それはみかけ上、グラグラが治っただけに過ぎず、結局歯周病は進行してゆくので、要注意です。

B抜歯 歯周病が末期にまで進行した場合は、残念ながら抜歯せざるを得ません。しかしその場合、それ以外の歯の歯周病を放置しておいては、その後さらに抜歯することになります。早急にそれ以外の残っている歯の歯周病治療を開始すべきでしょう。

C補綴処置 歯が抜かれた後は、ブリッジ、入れ歯、あるいはインプラント治療などの人工の歯を装着することになるでしょう。どのような方法を利用するのかは、症例毎に違ってきますし、患者さんの希望や事情を考慮する必要あります。大切なことは、もうそれ以上他の歯の歯周病が進行することがないよう、残りの歯周病の治療の継続と総合的な対策が必要でしょう。

応用編:歯周外科手術

歯周病が中期以上に進行している場合には、基礎編のルート・プレイニングだけでは完全に歯周ポケットがなくならないこともあります。確かにルート・プレイニングを行うことにより、歯肉の炎症状態は改善しますが、歯磨きが出来ない歯周ポケットが残る形態になっているのです。

この状態を放置すると、歯周ポケットの中で細菌(歯周病原因菌)が増殖しはじめ、再び歯周病が再発してゆきます。それを解決する治療法が<歯周外科手術>です。

「口の中の手術」と聞いたただけで、ビックリする方も多いかと思いますが、私の過去30年の経験から、正しい歯周外科手術を行うことにより、歯を長持ちさせることに成功した症例は数限りなくあります。歯周外科手術にはこれまで幾種類もの術式が開発されていますが、下のイラストは最も基本的な術式のひとつを図解説明しています。


応用編:外科手術で治った実際の症例


歯周病のメインテナンス編

★ メインテナンス編 ★

歯周病は、初期の段階なら<入門編>と<基礎編>を確実に行えば、ほとんど完全に治すことが可能です、また中期にまで進行した歯周病は<応用編>まで行う必要があるでしょう。しかしいずれにしても、一度治療が完了したとしても、それ以上悪化させないためには、継続的にメインテナンスを行う必要がありますに治す。

と言っても特別なことを行うわけでではなく、@毎日の正しい歯磨きを実践すること、A食生活を改善し、間食にも注意すること、B定期的な根面の清掃(ルート・オウレイニング)に通院すること、C噛み合わせの定期的チェックと咬合調整に通院すること、などです。定期的チェックのための間隔は、人により違ってきます。もし糖尿病に罹患していたなら、再発しやすいので、テェック期間を短くする必要があるでしょう。


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